この記事で学べること
EBMとは
信頼性の高い臨床研究によって得られたエビデンスを自身の臨床に取り入れることで、患者さんに質の高い、信頼性の高い医療を提供することです。
私たち臨床家が患者さんに提供する医療は、経験側からくるもの、科学的エビデンスを取り入れたEBM、この両方から成り立っていると、私は考えています。
経験則からの知識は、研修医時代に現場で学んだこと、勤務医時代に先輩歯科医から学んだこと、勉強会や研修会で学んだこと、歯科の商業雑誌を読むこと、また自身の治療でうまくいかなかった経験から学んだことなどをベースにする場合が多いと思います。
EBMを臨床に取り入れるには?
EBMの場合、そのエビデンスはどこで得られるかというと、一番の近道は、学会が発表する臨床のガイドライン、や声明文Position statement、出版された教科書、またその分野に関するシステマティックレビュー(できたらメタアナリシスを行っているもの)、システマティックレビューがない場合リタラチャーレビューなどを読むことです。特にガイドラインや教科書はすでにその分野に関連する膨大な数の文献のリタラチャーレビューを行い、研究の信頼性を取捨選択した後のエビデンスから成り立っていると言えるでしょう。
知りたいことがガイドラインや教科書でカバーされていない場合は?
EBMを行うには、信頼性の高いエビデンスの寄せ集めであるガイドラインを読むのが近道と言いましたが、臨床で遭遇する疑問や問題はそれだけでカバーできないことが多いです。
ガイドラインは新しい分野や、新しい考えに関して、ある程度の研究結果が出揃わないと、作ることができません。ましてや、本(教科書のような)になるのはさらに遅れてからになると思います。
もっと難しいことには、エビデンスは日々進化して、また変化していくもので、以前は正しいと考えられていたことや主流であった考えが、現在では変わってきている、ということもあります。
なので欧米の学会などではガイドラインやposition statementはそういった変化に合わせてアップデートされていきます。
このように、学会のガイドラインを参考にすることはEBMを行う第一歩とも言えます。
けれども、臨床で何か問題や疑問に当たったとき、信頼できるエビデンスをガイドライン、教科書などから得られない時は、自分で文献を探し、読んで、その知識をベースとして医療を行うことになります。
EBMを自身の臨床に取り入れて、科学的根拠(エビデンス)に基づく医療を行いたい場合には、その分野に関するガイドラインや文献に目を通す習慣を身につけないといけません。
日本の歯科はEBMにおいて欧米より遅れている?
歯科の分野でEBMに関して、日本では欧米よりも遅れをとっているように思えます。
日本の歯科の学会で、欧米の学会のような治療に関するしっかりとしたガイドラインを設定しているところは多くありません。
必然的に情報は英語で得ることになると思いますが、英文を読むのに慣れない場合、読み終わるだけでもかなりの時間を費やすことになり、挙句の果てにはいやになってしまうこともしばしば、、
そう行った方にはぜひこのリーズアカデミーの文献から、を活用していただきたいです。
英文論文の解説、ポイント、臨床への示唆、などをわかりやすく述べていきます。