この記事で学べること
穴が空いていれば、虫歯になったと早く気が付けるけども、大体気がつかないうちに虫歯が大きくなっていることがほとんどです。
なので、痛くなって気が付く、慌てて歯科医院に駆け込む、なんてことも多いですよね?
どうして、虫歯は歯の内部で進行するのでしょうか? その疑問に答えるべく、本記事では虫歯の進行のしくみについて学びます。
虫歯が、歯の内部で気づかないうちに大きくなっている理由、それは歯の構造と組成によるところが多いです。
歯の構造は外側から、①エナメル質 その内側に②象牙質、そして ③象牙質の内側に(歯の内部に)神経があります。
同じ歯でも、エナメル質と象牙質、構造や組成がだいぶ違うのです。
エナメル質は歯の外側の部分で、目で見えている白い部分です。
象牙質はエナメル質の内側(通常は目で見えません)にあります。
下の写真は虫歯治療のために歯を削っ他ところで、外側のエナメル質(①)と内部に象牙質(②)が見えています。
象牙質は黄色っぽい色をしています。
虫歯になり広がりやすいのは、『中』の部分、②の象牙質です。
エナメル質、象牙質の組成や構造の違い
エナメル質はミネラルが豊富な緻密で硬い結晶構造で外からの刺激を遮断するバリアのような機能があります。象牙質はミネラル成分もエナメル質より少なく、有機質が多くなっています。その分柔らかく、そして水分も含んでいます。緻密なエナメル質と違って、象牙質は細菌の酸でエナメル質よりも溶けやすく、細管構造をしているので細菌の広がりや進行も早く、エナメル質よりも虫歯の進行が早いのです。
虫歯の進行
虫歯の始まりはエナメル質が虫歯菌の酸で溶けることから始まります。緻密な結晶構造のエナメル質は細菌の酸で一気に広範囲に溶けることはありません。
硬い、歯を守る鎧にまずは目に見えないくらいの小さな穴が開くようなイメージです。
そのエナメル質に開いた小さな穴が虫歯菌の通り道になり、その下の象牙質に一旦細菌が到達すると、柔らかく、水分を含み、有機成分もあり、細管構造を有する象牙質は虫歯の酸で溶けやすく、広がりやすいのです。内部の方が先に広がるのはそのためです。
まとめ
このように、『歯』といっても歯冠部分はエナメル質と象牙質の二層に分かれていて、その二つの構造、組成が違います。
虫歯が象牙質に達するとエナメル質にとどまる初期の虫歯より広がりやすくなるため、象牙質に達しないよう予防のための歯のお手入の習慣がとても大切なのです。
参考文献
1) Pashley, D.H. and Tay, F.R.(2012). Pulpodentin complex. In Seltzer and Bender’s Dental Pulp: 2nd Ed. Quintessence Publishing Co, Inc.